※私見と想像を一部含んだ内容となっております。
●〇 空気抵抗のごとく 〇●
青葦治療院の加藤です。
車のボディの形状を決める際に
空力(空気抵抗)を考えて流線形のボディにしたり
ウィングをつけたりすることがありますが、
人の身体でも似たような捉え方で
重力抵抗(造語ですが)を考えて姿勢を見てみる考え方もあります。
例えば身体を横から見た際(矢状面)に、
上から重力が流れてくる図を想像してみてください(水が上から流れてくるがごとく)。
背中が丸まり、頭が前に出て、お腹も突き出したような姿勢をとっていたら
どうなるでしょう。
重力が身体(身体の周り)を通過するのが
スムーズにいかないのが想像できます。
横から見たときに、身体の表面がデコボコになってますので、
抵抗が強そうです(水が流れていくのを想像した方が分かりやすいです)。
姿勢というものを評価するときに、
見た目の滑らかさも基準に入れると分かりやすくなってきます。
●〇 抗重力筋と姿勢 〇●
抗重力筋、という概念が運動学にはありますが、
抗重力筋は直立二足での姿勢保持に使われる筋肉といったものです。
そして、姿勢保持に使われるということは
抗重力筋の働きが悪いと姿勢も崩れる、といった考え方もできます。
なので、姿勢を直す際には抗重力筋を調整して、といったアプローチも出てきます。
ですが、このアプローチは上手くいかないケースが多いです。
抗重力筋というくくりはあるものの、抗重力筋の役割は
重力に抵抗するだけではないからです。
そこだけ見ていても姿勢保持以外の目的で使われてしまえば
抗重力筋を~の学習はその瞬間だけのものになり、
その瞬間はよくても後に残る学習にはなりにくいです。
●〇 重力に逆らうのでなく道を譲る感覚 〇●
抗重力筋という一つの考え方から姿勢を見ると
まず言葉自体が良くないと思います。
『抗』、ということは重力に『逆らう』ということ。
『逆らう』ということは『力み』につながります。
そして、『力む』ということは『脱力』から遠のきます。
『脱力』は身体の感覚や意識を高めるのに重要なもので、
姿勢を見つめ直すために身につけないといけないものです。
『抗』重力筋という考えを使い、わざわざ『力み』を作る必要はないということです。
ではどんな感覚、意識で重力と向き合えば脱力して良い姿勢が作れるのか。
一つのイメージを提供するなら
『重力が身体を通りやすいように道を譲ってあげる』
といった感覚はどうでしょうか。
身体を主体にするのではなく重力を主体にした考え方です。
重力がスムーズに、キレイに、真っすぐに身体を通り抜けられるような
気の持ちようです。
主体を自分の身体にしないこともポイントです。
姿勢もそうですが、身体というのは外界に合わせて常に変化しています。
外界(重力を始めとした外部環境)がどちらかといえば身体を支配しているのです。
なので、重力をコントコールしようとするのではなく
重力が身体をコントロールしやすいように持っていく、
そんな感覚を持つことで身体を重力に委ねられるので
自然と脱力も出来てきます。
委ねていれば頑張って姿勢を良くしようという『力み』も生まれません。
あくまで一つのイメージではありますが、
興味ある方は参考にしてみてください。