空気抵抗のように重さを感じる
愛知県一宮市の青葦治療院・整体院の加藤です。
車のボディの形状を決める際に空力(空気抵抗)を考えて流線形のボディにしたりウィングをつけたりすることがありますが、人の身体でも似たような捉え方で重力の抵抗を考えて姿勢を見てみる考え方もあります。
例えば身体を横から見た際(矢状面)に、上から重力が流れてくる図を想像してみてください(水が上から流れてくるように)。
背中が丸まり、頭が前に出て、お腹も突き出したような姿勢をとっていたらどうなるでしょうか。
重力が身体(身体の表面)を通過するのがスムーズにいかないのが想像できます。
横から見たときに、身体のラインが崩れているので、抵抗が強そうです(水が流れていくのを想像した方が分かりやすいです)。
姿勢というものを評価するときに、見た目(身体のライン)の滑らかさも基準に入れると分かりやすくなってきます。
抗重力筋と姿勢
抗重力筋、という概念が運動学にはありますが、抗重力筋は直立二足での姿勢保持に使われる筋肉といったものです。
そして、姿勢保持に使われるということは抗重力筋の働きが悪いと姿勢も崩れる、といった考え方もできます。
なので、姿勢を直す際には抗重力筋を調整して、といったアプローチも出てきます。
ですが、このアプローチは上手くいかないケースが多いです。
抗重力筋というくくりはあるものの、抗重力筋の役割は重力に抵抗するだけではないからです。
そこだけ見ていても姿勢保持以外の目的で使われてしまえば、抗重力筋を整えてもその瞬間だけのものになり、その瞬間はよくても後に残る学習にはなりにくいです。
重力に逆らうのでなく道を譲る感覚
抗重力筋という一つの考え方から姿勢を見ると、まず言葉自体が良くないと思います。
『抗』、ということは重力に『逆らう』ということ。
『逆らう』ということは『力み』につながります。
そして、『力む』ということは『脱力』から遠のきます。
『脱力』は身体の感覚や意識を高めるのに重要なもので、姿勢を見つめ直すために身につけないといけないものです。
『抗』重力筋という考えを使い、わざわざ『力み』を作る必要はないということです。
ではどんな感覚、意識で重力と向き合えば脱力して良い姿勢が作れるのか。
一つのイメージを考えるなら
『重力が身体を通りやすいように道を譲ってあげる』
といった感覚でしょうか。
身体を主体にするのではなく重力を主体にした考え方です。
重力がスムーズに、キレイに、真っすぐに身体を通り抜けられるようなイメージです。
主体を自分の身体にしないこともポイントです。
姿勢もそうですが、身体というのは外界に合わせて常に変化しています。
外界(重力を始めとした外部環境)がどちらかといえば身体を支配しているのです。
なので、重力をコントコールしようとするのではなく重力が身体をコントロールしやすいように持っていく、そんな感覚を持つことで身体を重力に委ねられるので自然と脱力も出来てきます。
委ねていれば頑張って姿勢を良くしようという『力み』も生まれません。
あくまで一つのイメージではありますが、興味ある方は参考にしてみてください。
だるま落としを積み上げるように
その他のイメージで姿勢を整えようとするのであれば
・だるま落とし
を思い浮かべて考えてみると良いかもしれないです。
だるま落としは、同じ形のブロックがいくつか積み上げられていますが、人が力を特に加えなくても、支えが無くとも自立しています。
さらに、ブロックをキレイにまっすぐに積み上げず、多少それぞれがズレていても、やはり人が力を加えなくても、支えが無くとも自立します。
なぜズレていても、支えが無くとも自立、安定しているのかというと、
・重さ(重心)が支持基底面内(一番下のブロックの底面内)に収まっているから
です。
その状態であれば、多少ブロックがズレていても問題なく自立します。
それを身体に当てはめて姿勢を考えてみて下さい。
人の身体の姿勢も、特に力を入れることなく安定した姿勢を作ることができます。
※全く力を入れずに、はできないですが、力みを大きく減らすことはできます。
力みが少なくなれば、その分身体の負担、疲労も少なくすることができます。
また、筋肉が固まりすぎることも予防できます。
人の身体はだるま落としのように均一のブロックが積みあがったような形はしていませんので、支えが全くいらないとはいきませんが、足、脛、大腿、骨盤、背骨、頭といった形や大きさの違うブロックをうまく積み上げれば、
・身体の負担の少ない楽な姿勢
を取れるようになっていきます。
あとは、腰の反り込み過ぎやアゴの引き過ぎ、お腹の凹まし過ぎなどに気を付けて、余分な力みのない、少ない姿勢を作れると良いかと思います。
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