愛知県一宮市の青葦【あおい】治療院・整体院
院長の加藤です。
最近見た某漫画の主人公の設定に、
プロ野球選手の息子だが、
その父親からあまり才能を受け継いでおらず、
二世のプレッシャーや周りの期待に応えられない苦しみから
一度野球をやめてしまった、
というのがありました(どんな漫画が分かる人は分かりますよね)。
才能がない、という設定の中でも特に
肩が弱い
というのを本人は一番苦にしていましたが…。
でも、そもそも肩が弱いってどういうことでしょう??
構造的に肩が弱い?
肩が弱い、ってどういうことでしょう?
もちろん言わんとすることは分かります。
単純に投げる力が弱い、
というような意味で使われていますね。
ただ、この肩が弱い
という言葉を使うと、
どうしても『肩』そのものに
目がいってしまいます。
そこで考えます。
肩の弱い=肩の力が弱い=投げる力が弱い
といった図式になりがちなのではないでしょうか。
では、『肩の力』とは何でしょう??
肩の筋力でしょうか?
肩の構造的な頑丈さでしょうか?
投球動作は肩に負担がかかりやすいので、
構造的な頑丈さは大切ですが、
投げる力を考えると、
実は『肩の強さ』というのは、
肩の筋力でもないし
肩の頑丈さでもないんですね。
投球動作はそもそも肩の動きが中心ではない
そもそも投球動作の核となるものは
肩ではないんですね。
肩の関節は主に
・肩甲上腕関節
・肩甲胸郭関節
・鎖骨肩甲関節
で構成されます(それぞれの説明は省きます)。
実はこの三つの関節は
投球動作において
もっとも力(運動エネルギー)を発生させる
ものではありません。
では、、もっとも力を発生させるものは何か?
それは
重力
と
重力の反作用
です。
分かりやすい言葉にすると
体重移動(シフトウェイト)
です。
投球動作では
まず、片脚を上げます。
そこから、立っている側の脚(軸足)を曲げて
上げていた脚をを下げて地面につけます。
この時に、主に軸足を通じて体重が地面にかかりますが、
投球動作ではそこから後ろ側の脚を蹴りだすことによって、
体重が前側の脚にかかっていきます。
そして、体重が前側の脚にかかりつつ、
身体全体が前方へ移動してきます。
あとはそこまでで生まれた力(運動エネルギー)を
体幹の回転や肩の回転、
腕をのばす動きやボールを指で押す動きへと
つなげて力を増幅しながら
最終的にボールを投げることにむすびつけるわけです。
投げる、という言葉を聞くと
どうしても肩から先(指に向かって)の動作に
目がいってしまいますが、
その投げる動作に使う力(運動エネルギー)の大半は
動き的には肩の手前にある、
身体全体(体重)を地面に向かって下げていく動作と
身体全体を前方に押し出していく動作で
生みだされます。
ピッチャーの人が
下半身を鍛える理由はそこにあるわけです。
下半身を鍛えれば、
体重移動によって生みだす力を
増やすことができますからね。
と、いうことで、
投球動作において、
その投げる力=肩の強さを決定するものは
体重移動ということになります。
動きの力学を理解すること
とういことで、前述の漫画の主人公は
肩が弱いことを悩んでいましたが、
改善すべき点は
『肩』にあったわけではないと思われます。
*そもそも漫画には肩を一生懸命鍛えている
描写もなかったですが。
改善すべきは
体重移動の効率です。
投球動作の動きの力学を考えれば、
改善方法は見つかります。
体重移動によって生みだした力を
いかにボールに伝えていくか。
才能も大事ですが、
才能がなければ知識で補う方法もあります。
その漫画ではその後、
ちゃんとしたコーチについてもらうことで
肩の弱さを克服していった描写があります。
そのコーチも肩の弱さはちゃんと改善できる、
といったことも言っていましたしね。
とにかく練習すれば上手くなる、
といった考え方が間違っているということはないと思います。
ただ、とにかく、というところが
ちょっと間違っているだけです。
スポーツというものは、
どんなスポーツであっても、
必ず頭を使ってプレーするものです。
がむしゃらなだけでは、
パフォーマンスの改善、向上の見込みは
薄くなってしまいます。
動きの力学を知識として、
また体感として理解して、
練習や試合に臨めると
もっといいプレーができると思いますよ。
以上、加藤でした。
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